厚切り薄切り、食パンはお好みの厚さで
東西の深い溝を持つ食パン(これは関西風厚切り4枚入り)。
洋食派というわけではないのだが、やっぱり朝食には食パンが似合う気がする。
そんな朝ご飯の代表選手食パン。
関東と関西ではスライスの好みの厚みが違う、というのは有名な話だ。何か深い秘密でもあるのかと、数社の製パン会社に問い合わせてみた。


するとどこの会社も一様に、
「8枚・6枚・5枚・4枚切りなど様々な枚数の食パンを出荷してますが、関東では薄い8枚、関西では厚めの5、4枚が人気です」
とのこと。
別に関西は厚切り・関東は薄切り、という限定販売をしているわけではなく、あくまでも客のニーズに応えた結果であるという。
そんな私は大阪在住。試しに近くのスーパーで確認したところ、販売されているのは6枚・5枚・4枚切りで8枚は売っていない。

その中でも圧倒的に人気だったのは、厚い4枚切り。不人気なのは6枚切りで、4枚・5枚切りが売り切れると店員を捕まえ、「早く4枚切り出してきて!」とせっつくおばちゃんまでいる。

これは単純に関東・関西の好みの差なのだろうか。今度は個人のパン屋さんに話を聞いてみた。
まずは関東で経営しているパン屋さん。聞いてみると、やっぱり関東には薄切り派が多いらしい。

店主の想像では、「薄いと早く焼け、忙しい人にはピッタリだからでは? それにサンドイッチ用に食パンを買っていく人も多いので、それに合うように薄くしています」とのこと。

関西では、食パン=トーストだ。食パンを使ってサンドイッチという概念は薄い(気がする)。
続いて関西のパン屋さんに聞いてみると、こちらも「忙しい人が多いから厚切りが人気なのでは?」との答えで不思議なことにどちらの理由も「忙しいから」である。
しかし関西の場合「忙しいからこそ、一枚でしっかりお腹に溜まるよう厚切りに」という考えである。
関西、特に大阪はせっかちなイメージがつきまとうが、食パンに関してはそうでもないらしい。


さらに関東はジャム派が多く、関西はバター派が多いという噂も聞きつけた。
関東ではパリッと焼いてジャムを付けるのに適した薄切り、関西ではバターが染みこむ厚切り……というのだが、これは各パン屋さんの見解なので、真実はどうかは分からない。

私は関西生まれの関西育ちなので、食パンはやっぱり厚い方が好きだ。厚いパンにたっぷりのバターの組み合わせが大好きだ。
しかし関東在住の人に聞くと、厚いのは食べにくい。薄い方がいいと言う。

食べ物にあまりこだわらないという人でも、パンの厚さは気になってしまうものらしい。
ちなみに製パン会社の食パンは、需要があれば関西でも薄切り、関東でも厚切りが登場しますとのこと。好きな人は注文してみては。
(のなかなおみ)